無くなるものへの惜別9「時速160キロ狭軌特急」~さよなら列車の旅信越、会津9~

さがるまーた

2015年11月30日 18:00



 直江津から北越急行の列車に乗ります。2両編成ですが、車内はガラガラ。でも転換クロスシートを使用しているだけでも素晴らしいです。最近は地方の鉄道でも東京と同じロングシートを使っている車両が多いですから。
 


 それはさておき、この車両は「ゆめぞら」号という車両です。北越急行ほくほく線は最近できた路線なので、トンネルが多く、景色を見ることがあまりできないのですが、それを逆手にとってトンネル内では車内に映像を映して、きれいな映像を見せるというサービスを土休日を中心にしているそうです。なかなかのアイデアですね。



 5種類の映像があるようです。もう夜の18時を過ぎているので、トンネル以外の車窓も真っ暗なので、映像の映写でも見たいところですが、この列車では行われていないので、真っ暗な車窓を見ながら列車は進みます。途中、特急「はくたか」と行き違い、今日の宿泊地、十日町を過ぎて、列車は美佐島駅へ。

 美佐島駅はトンネルの中にある駅でした。


 降りたのは私一人。すぐに列車は出ていきました。




ホームをよく見てみると、トンネルの中にホームがあって、十日町側は複線のスペースがあるように見えますね。その上の写真、反対側は単線のトンネルしかないので掘るときのシールドマシンの影響なのでしょうかね。

 そんなことを思う間もなく、ホームを出ます。このホームには監視カメラがついていて、電車が出た後、2分以上いるとアナウンスで出るように促されるそうです。



階段をあがり、外に出ます。豪雪地帯らしく、雪が積もっています。駅前には何もなく、ただ雪だけが降り続いています。



駅舎に戻ると、地上の待合室は閉鎖されていました。





階段を下りて、地下にもある待合室へ戻ります。


写真ではわかりにくいのですが、地下の部屋は左の手前にドアがあり、左の奥のドアもあって、その先がホームです。この2つのドアは同時にはあかないそうで、その理由はトンネルを走る列車の風圧による被害を防ぐためだそうです。



ちょうど、特急「はくたか」がやってきました。


列車の通過音もすごいのですが、その前後の空気音が「シューシュー」をなり続けるのが印象的でした。ただこの空気音がすごいもので、この空気音の圧力が待合室のガラスを壊すくらいの威力があるそうです。現実に試験走行の時にガラスが割れたそうで、そのため、2つのドアを同時にあかないようにして安全を守っているのだそうです。

 美佐島駅では、すべての列車でそうなっているのですが、ガラスが割れるくらいの圧力がなぜかかるかといえば、特急「はくたか」がこのほくほく線区間で時速160キロ運転をしているからなのです。新幹線以外の在来線で一番早い列車はこの「はくたか」と成田空港へ向かう京成スカイライナーなのですが、京成スカイライナーは新幹線と同じ線路幅、標準軌1435㎜なので、日本の通常の在来線幅1067㎜で早いのはこの「はくたか」になります。一般的に線路幅が広いほどスピードが出せるので、「はくたか」の160キロはすごいことなのです。

 「はくたか」が2015年3月の北陸新幹線開業と引き換えに廃止になると、この区間での160キロ運転はなくなるので、この美佐島での空気音の圧力を味わうことはできなくなります。また一つ、すごいものが消えていきますね。そしてこの北越急行ほくほく線も特急がなくなって、ローカル列車のみになります。黒字経営が赤字に転落してしまうのですが、北越急行も、それはわかっていて今までの利益を貯金していたのだそうで、当分は大丈夫そうです。



十日町へ行く列車がやってきて、ホームのドアが開きました。

今日は十日町で一泊です。足が雪でびちょびちょになりながら、ホテルに駆け込んだのでした。





10へ続く。

 

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