落石駅付近まで戻ってきました。時刻は11時40分ごろでした。次の根室行は13時20分の快速列車でした。その前に反対方向の釧路行きの列車が12時32分にあります。釧路行きの列車で戻って、どこかで根室行の列車に乗り換えることにします。
でも落石駅で50分待つのもどうかなあと思います。隣駅まで歩いてみようかという気になりました。初めての駅はわくわくするものです。一番いいのは自分が行く方向の駅へ行くのが時間が稼げていいのですが、釧路方向の隣駅、別当賀へは10,3キロ。ちょっと50分では難しそうです。根室方面の隣駅、昆布盛駅へは4キロ。ぎりぎり行けそうです。道もほぼ線路沿いなので、約4キロで大丈夫だろうと思い、速足で歩き始めます。
少し歩くと、右手に海が、そしてユルリ島が見えてきました。以前は昆布の干場として利用されていたそうですが、今は海鳥の営巣地、野生化した馬の生息地としても残っているそうですが、鳥獣保護区のため、今は上陸はできないそうです。
丁寧に案内板もありました。
ほとんど誰も歩かない歩道を歩いていると、アスファルトに舗装された部分を割って植物が出てきてました。
結構、北海道では見る光景ですが、植物の生命力を感じます。
遠くに昆布盛集落や風車、観光施設っぽいものも見えますが、もう時間がありません。急いで早歩き、小走りで駅に向かいます。
昆布盛駅に着いたのは12時25分。27分の列車に間に合いそうです。
何とか釧路行きの列車に乗れました。窓を開けて、先ほど歩いてきた道を眺めます。
手前の石原は昆布干し場です。汗を拭き、風に吹かれて車窓を眺めます。最近では窓の開かない列車が多い中で、久しぶりの気持ちの良い瞬間です。
落ち着いて、車内を見回すと、乗客は私ともう一人、年配のおじさんの二人でした。昼下がりとはいえ、驚きでした。ローカル線がいかに通学の学生で成り立っているのかを考えさせる光景でした。
落石を過ぎ、次の駅、別当賀に到着。
昔は駅舎があったようですが、今は貨車を改造した待合室のみの駅になっています。この駅で、もう一人の乗客は降りてしまったので、この先は乗客は私一人になってしまいました。
お昼すぎなので、こばらを満たそうと、先ほど落石集落で買ったパンを食べることにします。
裏を見て、ビックリ!賞味期限切れでした。今は5月の中ごろです。久しぶりの体験でした。
そうこうするうちに「初田牛」駅に到着です。
「初田牛」駅は秘境駅とも言われている駅で、ほとんど人が降りないというか、駅周辺に人家がない駅のようです。降りようかと腰を上げかけましたが、次の根室方面の列車は快速なので、この初田牛駅には止まらず、バスの走っている国道からも遠いので、次の列車まで2時間ほど待つことになりそうなので、やめました。危ないところでした。
次が厚床駅です。駅手前に近づくと、廃止された標津線の線路敷地が見えてきました。もちろん線路はないのですが、柵とかでうっすらとわかります。
ちょうど、この厚床で根室行の快速「ノサップ」と行き違います。手を振れば乗れそうですが、それには乗らず、運転士に切符を見せて、降りて、列車を見送りました。
ここ厚床駅、以前は標津線という中標津方面に向かう路線が分岐していた駅でした。道東のジャンクションとして、昭和の時代には常に何人ものバックパッカーたち(そのころはカニ族と言ってましたが)が、この駅で列車を待っていたそうですが、今は私一人、そして駅員はいない無人駅になっていました。過去の栄光の名残か、記念板がわざわざ残されていました。
駅前に出ると、ちょうど、標津線が廃止になった後の代行バスである、根室交通の中標津行のバスが出ていきました。バスに変わっても、乗る人がほとんどいなくても、ちゃんと接続しているダイヤを組んでいるのは素敵なことです。
厚床駅前です。駅舎は立て替えられていました。それは良いのですが、昔のイメージを持ってやってきた私としては残念な気がするのは勝手すぎるでしょうか?
次の根室行の列車は1時間40分後。さあどうしましょうか?
10へ続く。
次回は以前一回休んだ代わりとして、23日の10時に更新します。よければ見に来てください。